Summary

2026年6月に一般提供となったCopilot Coworkを解説。従来の「回答するAI」から「業務を完了させるAI」への進化、5つの特徴、料金の仕組み、効果を出すための前提条件を、公式情報をもとに整理しました。

目次

※本記事は2026年8月24日時点のMicrosoft公式情報に基づいています。機能、料金、対応モデル、提供条件は変更される場合があります。

Microsoft 365 Copilotは「回答するAI」から「業務を完了させるAI」へ

これまでのAIは「質問すると答えを返す」ことが中心でした。一方、Copilot Coworkは「複数の工程を進め、レビュー可能な成果物として返す」方向へと踏み出しています。

3か月間の早期利用プログラム(Frontier)での試用期間を経て一般提供が始まった時点で、Fortune 500企業の半数以上が利用していました。Microsoftによると、CoworkはFrontierプログラムの中で最も急速に利用が広がった機能であり、これまで提供されたCopilotやエージェント関連機能の中でも、利用者満足度が高い機能の一つとされています。

Copilot Coworkとは?仕組みをわかりやすく解説

Copilot Coworkは、作業の「計画・実行・成果物の作成」を行うエージェント型のシステム(AIがタスクの手順を計画し、必要な確認や承認を挟みながら処理を進める仕組み)です。アプリ、ファイル、データをまたいで、次のような一連のワークフローをAIが調整し、必要な確認や承認を挟みながら進めます。

  • 長時間かかる処理
  • 複数のステップを要する処理
  • 複数のツールをまたぐ処理

ポイントは、ユーザーが「やってほしい作業」を定義すると、Coworkが必要な確認や承認を挟みながら複数の工程を進め、ユーザーがレビューできる段階まで仕上げた成果物を返す点です。ドラフトやおすすめ案の提示だけでなく、成果物の作成まで進める設計になっています。

また、Copilot CoworkはWork IQを土台にしています。Work IQは、メール・ファイル・会議など社内にある業務情報のつながり(=業務データの全体像)を読み取り、それをタスクに反映させる仕組みです。これにより、その場の状況に合った成果を作り出します。

なお、Coworkは作業を進めながら都度確認を行い、メールの送信や重要な変更を実行する前にはユーザーへ承認を求めます。自律的に動きつつも、重要な操作に人の判断を挟める点は、業務利用におけるリスク管理の要素となります。

Copilot Coworkの5つの特徴

1. クラウドで実行される

Coworkによるタスクの実行はクラウド上で行われ、処理のためにファイルをPCへローカル保存しておく必要はありません。PCを閉じた後も、クラウド上でタスクを継続できます

2. Work IQで業務情報に紐づく

企業がすでに使っているメール・ファイル・会議などの情報に作業を結びつけるため、実際の業務の文脈をふまえた成果になります。与えられた文章だけで答えるのではなく、社内の状況を反映できる点が特徴です。

3. エンタープライズ級のセキュリティとコンプライアンス

Coworkには、Microsoft 365で設定されたユーザー権限や管理者権限が引き継がれます。また、監査ログやeDiscoveryなど、Coworkに対応しているMicrosoft 365のセキュリティ・コンプライアンス機能を利用できます。対応機能や提供状況は更新されるため、導入時にはMicrosoft公式情報をご確認ください

4. マルチモデル設計

タスクに必要なモデルを選んで実行できます。利用可能なモデルが増えるほど、作業に合わせて能力を拡張できます。

5. 使用量やタスクに応じてコストを管理できる

Microsoftは、次の3つの仕組みにより、処理コストを抑える設計であると説明しています。

  • 必要な情報やツールを効率よく探し出す仕組み
  • タスクに適したAIモデルを利用し、処理内容に応じてコストと性能を調整する仕組み
  • 使った分だけ支払う課金方式

Microsoftが2026年6月に公表した社内テストでは、所定の条件下でCopilot Coworkと、Microsoft 365 Connectorを使用したClaude Coworkのプロンプト当たりのコストを比較した結果、Copilot Coworkのコストが平均30~40%低かったと報告されています。この数値はMicrosoftによる限定的な試験結果であり、すべての利用環境で同じ差が生じることを示すものではありません。

実際の費用は利用するモデル、タスク内容、構成、実行時間などによって異なります。比較条件と算定方法の詳細は、Microsoft 365 Blog「Copilot Cowork is now generally available」をご確認ください。

Copilot Coworkでできること(活用例)

Copilot Coworkには、どのような作業を任せられるのでしょうか。Microsoftのブログで示された内容をもとに、代表的な用途を3つのタイプに整理します。

活用例1:大量のファイルを一括で比較・照合する

Microsoft公式ブログでは、あるチームが2つの製品バージョンにまたがる約4,000ファイルをCoworkで比較した事例が紹介されています。Microsoftによると、人が行えば数週間かかると見込まれた作業でした。実際に処理できるファイル数や所要時間は、ファイル形式、データ量、アクセス権限、作業内容などによって異なります
 

活用例2:繰り返しの定型作業を自動化する

決まった形式のスプレッドシートを編集し、変更のたびに関連する図(フローチャートなど)を作り直す、といった一連の作業を自動化できます。これまで人が注意深く手で行っていた工程を、Coworkが一貫して処理します。

活用例3:散らばった情報を整理して次のアクションを示す

営業案件のように情報が複数の場所に分散している場合でも、Coworkが状況を分析し、優先度をつけたリストや「次にやるべきこと」を提示できます。これまで数日分の確認作業が必要だった整理を、短時間にまとめられます。

いずれも共通しているのは、「調べる」「作る」を人が繰り返すのではなく、一連の作業をCoworkに任せてユーザーがレビューできる段階まで仕上げた成果物を受け取れるという点です。

Copilot Coworkの料金の仕組み

Copilot Coworkの利用には、Microsoft 365 Copilot ユーザーサブスクリプションライセンスが必要です。その上で、Coworkは実行したタスクに応じた使用量ベースの課金(従量課金)となります。

Coworkは既定で無効です。利用するには、管理者がCoworkの利用対象者と使用量ベースの請求方法を設定する必要があります。

Coworkの使用量は「Copilot Credits」で計算されます。各タスクで消費するクレジット数は、使用するAIモデル、参照するコンテキスト、ツールの呼び出し回数、実行時間などによって変わります。そのため、同じ1タスクでも、処理内容によって費用が異なります。

Microsoft公式情報では、使用量に応じて支払うPay-as-you-goと、Copilot Creditを一定量事前購入するP3が案内されています。P3の契約期間、割引、購入条件については、Microsoftまたは販売パートナーへご確認ください。

※Copilot Creditsとコスト管理の詳細は、Microsoft Learn「Copilot クレジットの Usage-Based 課金とコスト管理」をご確認ください。

Copilot Coworkが効果を発揮するための前提

Copilot Coworkは、Work IQを土台として業務データを横断的に活用します。そのため、以下のようなMicrosoft 365の各サービスを日頃から活用している環境ほど、効果を発揮しやすくなります

  • Outlook/Exchange Online(メール)
  • Teams(会議・チャット)
  • SharePoint(ファイル共有)
  • OneDrive(ファイル保存)

逆に、ファイルサーバが中心・メールは社内サーバ(オンプレミス)で運用・Teamsをあまり使っていない、といった環境では、AIが参照できる情報が限られるため、効果も限定的になります

【自己診断】自社でCopilot Coworkの効果を出せるか?

 導入前に、以下の項目をどれだけ満たしているか確認してみてください。当てはまる数が多いほど、Coworkの効果を引き出しやすい環境と言えます。

  1. 日常のメールをOutlook/Exchange Onlineで運用している
  2. 会議やチャットにTeamsを日常的に使っている
  3. 業務ファイルをSharePoint/OneDriveに集約している
  4. 複数のステップや複数アプリをまたぐ定型業務がある
  5. 大量ファイルの比較・照合など、手作業で時間がかかる業務がある
  6. Microsoft 365 Copilotのライセンスを導入済み、または導入予定がある

該当項目が多いほど、Copilot Coworkを活用するための条件が整っている可能性があります。実際の効果は、業務データの保存場所、アクセス権限、対象業務、利用方法によって異なります

まとめ:Copilot Coworkは「業務の実行を担うAI」へ

今回のCopilot Cowork一般提供は、Microsoft 365 Copilotが「質問に答えるAI」から「業務そのものを引き受け、成果物まで仕上げるAI」へと進化する節目と言えます。

Copilot Coworkの大きな特徴は、ドラフトや「おすすめ案」の提示で終わらず、複数の工程を進め、ユーザーがレビューできる段階まで仕上げた成果物を返す点にあります。特に、次のような業務ほど効果が期待できます。

  • 扱うファイルが多い業務
  • 工程が複雑で長い業務
  • 複数のツールをまたぐ業務

Work IQによる「業務理解」と、Coworkによる「業務実行」が組み合わさることで、Microsoft 365 Copilotは検索・作成を支援するツールから、業務の実行まで支援するデジタルアシスタントへと役割を広げていくと考えられます。

出典・参考資料

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