Summary

書かない窓口とは何か、フロントヤード改革との関係、住民サービス向上や窓口業務改善のメリット、自治体が取り組みやすい施策例について、総務省・デジタル庁資料を基に解説します。

目次

はじめに

自治体では、住民サービスの向上と行政運営の効率化を両立するため、窓口業務の見直しが進められています。
 
総務省が推進する「自治体フロントヤード改革」では、マイナンバーカードを活用した住民と自治体との接点の多様化・充実化、窓口業務の改善を通じて、住民の利便性向上と職員の業務効率化を目指しています。あわせてデジタル庁は、自治体窓口DX「書かないワンストップ窓口」として、「書かない、待たない、回らない」ワンストップ窓口の実現を掲げています。
 

関連する公的資料については、以下をご参照ください。

本記事は2026年7月31日時点の公開資料を基に作成しています
その中でも注目されているのが「書かない窓口」です。
本記事では、総務省およびデジタル庁が公開している資料を基に、書かない窓口の概要やメリット、フロントヤード改革との関係、自治体が取り組みやすい進め方について解説します。

書かない窓口とは

書かない窓口とは、マイナンバーカードや自治体が保有する情報などを活用し、申請書への記入を省略・簡略化することで、来庁者の記入負担を軽減する窓口の仕組みです。
 
職員が窓口支援システムに必要な情報を入力し、申請書を作成する方法などにより、住民が同じ情報を何度も記入する負担の軽減を目指します。
従来の窓口では、
  • 申請書の記入
  • 受付での確認
  • 必要書類の案内
  • 手続き窓口の案内
などに多くの時間が必要でした。
 
書かない窓口では、申請書作成を支援することで、住民が手続きを進めやすい環境を整備し、窓口での記入負担の軽減を目指します。
重要なのは、「紙をなくすこと」が目的ではなく、「住民にとって利用しやすい窓口を実現すること」です。デジタル庁は、「書かないワンストップ窓口」を実現するためには、システムの導入だけでなく、窓口とバックヤードを含めた業務改革「窓口BPR」が重要であるとしています。
 
そのため、既存の申請手続きや業務フローを整理し、住民対応から内部処理までを見直した上で、必要なシステムを検討することが求められます。

フロントヤード改革と書かない窓口の関係

フロントヤードとは、庁舎の窓口、相談対応、オンライン申請、リモート相談など、住民と自治体が接するさまざまな接点を指します。
総務省では、マイナンバーカードを活用した住民との接点の多様化・充実化や窓口業務の改善などを通じて、住民の利便性向上と職員の業務効率化を図る「自治体フロントヤード改革」を推進しています。
 
住民が窓口で感じる課題として、
  • どこに行けばよいかわからない
  • 必要な書類がわからない
  • 長時間待たされる
  • 複数の窓口を回る必要がある
といったものがあります。
 
書かない窓口は、こうした課題の解決を目指す施策の一つとして位置付けられています。

書かない窓口のメリット

デジタル庁資料では、住民負担軽減や職員の業務効率化が期待される効果として紹介されています。

住民の記入負担の軽減

 
マイナンバーカードから読み取った情報や自治体が保有する情報などを活用して申請書を作成することで、住民が氏名や住所などの情報を繰り返し記入する負担の軽減が期待できます。

手続き時間の短縮

職員が住民から必要な情報を聞き取り、窓口支援システムを利用して申請書を作成することにより、記入方法の説明や記載内容の確認にかかる時間の短縮が期待できます。

職員の業務負荷軽減

手続き案内や申請書作成をシステムで支援することにより、記入方法の説明、記載内容の確認、データ入力などにかかる職員の負担軽減が期待できます。

窓口対応の平準化

手続きの判定や案内手順をシステムで支援することで、担当職員の異動や担当変更があっても一定水準の窓口対応につながります。

自治体が取り組みやすいフロントヤード改革の例

フロントヤード改革は、必ずしも大規模なシステム導入から始めるものではありません。自治体が抱える課題や現在の業務フローを整理し、対象とする手続きや施策を選定した上で、段階的に進める方法があります。
 
デジタル庁は、自治体窓口DXを進める際には、目指す窓口の姿を明確にし、窓口とバックヤードの業務を見直した上で、必要なシステムやツールを検討することが重要であるとしています。
 

来庁予約のオンライン化

住民がWebから来庁日時を予約できるようにし、予約枠や窓口の人員配置を適切に設定することで、
  • 来庁者数の平準化
  • 窓口混雑の緩和
  • 待ち時間の削減
が期待できます。個人情報を取得する場合は、利用目的を明示し、法令や各自治体の個人情報保護制度に基づいて管理することが求められます。
 

事前質問の活用

来庁予約時に、
  • 手続き内容
  • 相談内容
  • 必要に応じた確認事項
を取得することで、窓口での確認時間の短縮につながります。
 

持参物案内

予約完了時や確認メールで、
  • 必要書類
  • 本人確認書類
  • 手続きに必要な持参物
を案内することで、住民の不安軽減や、必要書類の不足による再来庁の抑制につながります。
 

FAQや手続き案内の充実

住民が来庁前に必要な情報を確認できる環境を整えることで、問い合わせ削減や窓口案内の効率化が期待できます。

フロントヤード改革における取組例

書かない窓口を含むフロントヤード改革では、自治体ごとの課題を整理し、目指す窓口の姿を明確にした上で、取り組む施策を検討することが重要です。
施策の一つとして、来庁予約のオンライン化が挙げられます。来庁予約は、予約対象業務や窓口の運用条件を整理することで段階的に導入しやすく、混雑の平準化や来庁目的の事前把握につながります。
 
予約対象となる手続きや運用内容に応じて、必要な範囲で、
  • 氏名
  • メールアドレス、電話番号などの連絡先
  • 手続き内容
  • 事前確認事項
などを取得し、予約枠の設定や窓口の運用に活用することで、
  • 来庁目的の事前把握
  • 手続きに応じた持参物の案内
  • 来庁者数の平準化
  • 窓口運営の効率化
につながります。
 
窓口の混雑や来庁者数の把握に課題を抱える自治体にとって、来庁予約のオンライン化は、フロントヤード改革に着手する選択肢の一つとなります。

まとめ

書かない窓口は、マイナンバーカードや自治体が保有する情報などを活用し、申請書への記入を省略・簡略化することで、住民の利便性向上を目指す取組です。
また、書かない窓口は単独の施策ではなく、総務省が推進する自治体フロントヤード改革や、デジタル庁が推進する自治体窓口DXの取組の一つとして位置付けられています。住民が「書かない」「待たない」「回らない」窓口を実現するためには、システムの導入だけでなく、窓口業務やバックヤード業務を含めた業務全体の見直しも重要です。
フロントヤード改革では、書かない窓口のほかにも、手続案内の充実や住民との接点の多様化など、さまざまな取組が進められています。その目的は、住民が必要な行政サービスを利用しやすくするとともに、職員の業務効率化につなげることにあります。
自治体によって窓口業務の課題や住民ニーズは異なるため、目指す窓口の姿を明確にした上で、各自治体の状況に応じた施策を選択し、段階的に取り組むことが重要です。
今後、自治体DXの推進に伴い、住民サービスの向上と業務効率化の両立はますます重要になると考えられます。書かない窓口やフロントヤード改革について理解を深め、各自治体が抱える課題や目指す窓口の姿に応じた取組を検討していくことが重要です。
自治体窓口DXの取組は、住民が利用しやすい窓口の実現と行政サービスの利便性向上につながる施策として、今後も重要性が高まるでしょう。

出典・参考資料

総務省「自治体フロントヤード改革ポータル」

https://www.soumu.go.jp/frontyard_portal/

デジタル庁「自治体窓口DX『書かないワンストップ窓口』」
 

https://www.digital.go.jp/policies/cs-dx

デジタル庁「自治体フロントヤード改革の取組状況に関するダッシュボード」

https://www.digital.go.jp/resources/govdashboard/front-yard-reform/

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