普段何気なく利用している道路。通勤や通学、買い物の途中で、道路に大きな穴が空いている、ガードレールが壊れている、カーブミラーが曲がっている、倒木が道路を塞いでいる、大雨で道路が冠水しているといった状況を見かけたことはないでしょうか。
こうした道路の異常は、放置すると交通事故や転倒事故につながる可能性があります。一方で、「危険なのは分かるけれど、どこに連絡したらよいのか分からない」という方も少なくありません。
この記事では、道路の異常を発見した際の通報方法や、知っているようで意外と知らない道路管理の仕組みについてご紹介します。
道路の管理者は意外と複雑
道路は、すべて同じ組織が管理しているわけではありません。道路の種類や区間によって管理者が異なります。
| 道路の種類 | 主な管理者 |
|---|---|
| 高速道路 | NEXCOなどの高速道路会社 |
| 国道 | 国土交通省、都道府県、政令指定都市など |
| 都道府県道 | 都道府県 |
| 市区町村道 | 市区町村 |
ここで意外なのが「国道」です。国道と聞くと国土交通省が管理しているイメージがありますが、都道府県や政令指定都市が管理している区間もあります。そのため、道路利用者が現地を見ただけで管理者を判断することは簡単ではありません。
つまり、「この道路はどこが管理しているのか分からない」という状況は、決して珍しいことではないのです。
そんな時に利用できる「#9910」
道路緊急ダイヤル
#9910
道路の穴ぼこ、路肩の崩壊、落下物、路面の汚れなど、道路の異常を受け付ける全国共通の窓口です。
道路の異常を発見した際に利用できるのが、道路緊急ダイヤル「#9910」です。道路利用者が道路の異常を発見した際に、管理者が分からない場合でも通報できる窓口として運用されています。
電話による#9910は24時間受け付け、通話料は無料です。また、LINEによる通報も用意されており、全国の高速道路、国道、都道府県道、市区町村道などを対象としています。ただし、私道などの私有地は対象外です。
ポイント:道路の管理者が分からなくても、まず#9910へ道路異常を伝えられます。ただし、事故が発生している場合は警察への連絡が優先です。
どんな異常を見つけたら通報した方がよいの?

道路の穴ぼこ・舗装の損傷

ガードレール・カーブミラーの破損

倒木・枝の張り出し

道路上の落下物

冠水・土砂流出
道路の穴ぼこ・舗装の損傷
道路の穴ぼこは、車だけでなくバイクや自転車にとっても大きな危険となります。特に雨の日は水がたまり、穴の深さが分かりにくくなるため、事故につながるおそれがあります。小さく見える損傷でも、交通量や天候によって拡大する場合があります。
ガードレールやカーブミラーの破損
交通事故や経年劣化などによって、ガードレール、道路標識、カーブミラーなどが損傷している場合があります。特に見通しの悪い交差点では、カーブミラーの不具合が安全確認に影響します。
倒木や枝の張り出し
台風や大雨の後には、倒木や枝の張り出しが発生することがあります。車道にはみ出している、歩道を塞いでいる、通行の支障になっているといった場合は、早めの情報提供が重要です。電線に接触しているなど危険が差し迫っている場合は、近づかずに緊急機関へ連絡してください。
道路上の落下物
木材、資材、タイヤ、荷物、金属片などの落下物は、重大な事故の原因になります。高速道路だけでなく一般道でも、通行に支障がある場合は道路異常として通報の対象になります。
冠水や土砂流出
大雨の後には、道路冠水、路肩崩落、法面崩壊、土砂流出などが発生することがあります。冠水箇所へ車や徒歩で進入したり、崩れた斜面へ近づいたりせず、安全な場所から連絡してください。
事故が起きている場合は110番・119番
道路異常の通報と、交通事故や救急の通報は目的が異なります。すでに事故が発生している、人が負傷している、今すぐ警察官や救急隊による対応が必要という場合は、#9910よりも緊急通報を優先してください。
#9910
穴ぼこ、落下物、倒木、路肩崩壊、施設の損傷など
110番
交通事故や、警察官にすぐ現場へ来てほしい緊急事態
119番
けが人、急病人、火災、救助が必要な状況
事故と道路損傷の両方が関係している場合でも、まずは人命と現場の安全確保を優先してください。その後、必要に応じて道路管理者へ情報が共有されます。
なぜ「#9910」が作られたのか
道路緊急ダイヤルは、道路利用者が道路の異常を発見した場合に、道路管理者へ緊急通報し、迅速な対応へつなげることを目的としています。
住民の立場から見ると、国道、都道府県道、市区町村道の違いや、それぞれの管理者をその場で判断することは簡単ではありません。#9910は、こうした「どこへ連絡すればよいか分からない」という迷いを減らし、道路異常を適切な道路管理者へつなげるための共通窓口として重要な役割を担っています。
災害が発生した時こそ、道路通報が重要
集中豪雨や台風、土砂災害などが発生すると、倒木、冠水、路肩崩落、土砂流入などが広い範囲で同時に発生することもあります。行政や道路管理者は巡回や点検を行いますが、広範囲の異常を即座に把握することが難しい場合もあります。現場を通行した住民や道路利用者からの情報は、危険箇所の把握と初動対応を支える重要な手掛かりになります。
安全上の注意:通報や写真撮影のために冠水箇所、崩落箇所、走行中の車道へ近づかないでください。運転中にスマートフォンを操作せず、必ず安全な場所へ移動してから連絡してください。
通報の際に伝えたい3つのポイント
1. 場所
道路名、住所、進行方向、キロポスト、近くの交差点、学校や店舗などの目印を伝えます。スマートフォンから通報する場合は、位置情報の共有も場所の特定に役立ちます。
2. 状況
「穴がある」だけではなく、穴のおおよその大きさ、車線を塞いでいるか、通行車両が回避しているかなど、分かる範囲で具体的に伝えます。
3. 写真
写真があると、道路管理者が現場の状況を把握しやすくなります。ただし、写真を撮るために危険な場所へ近づく必要はありません。撮影や送信は、安全を確保できる場合に限って行ってください。
通報の裏側で自治体は何をしているのか
住民から道路異常の通報が入ると、自治体や道路管理者では、通報内容を確認し、必要に応じて現地確認や補修などを行います。
①通報内容を受け付ける
②道路名、住所、位置情報などから場所を確認する
③道路管理者や担当部署を確認し、情報を共有する
④必要に応じて現地を確認する
⑤危険性に応じて応急対応や安全対策を行う
⑥補修方法や対応方針を検討する
⑦対応内容と履歴を記録する
一方、電話だけでは場所を正確に特定できない、写真を別途受け取る必要がある、担当者ごとに記録方法が異なる、対応状況を部署内で共有しにくいといった課題が生じることもあります。特に台風や大雨の後など、短時間に多くの通報が寄せられる場面では、受付内容、現地確認、担当者、対応状況を整理して管理する必要があります。
道路異常通報のデジタル化が進んでいます
こうした課題への対応として、スマートフォンから写真、位置情報、発生状況を送信できる道路異常通報のデジタル化が進められています。電話で場所や状況を一つずつ聞き取る方法に加え、投稿フォームから情報を受け付けることで、現地の状況を視覚的に確認しやすくなります。
また、受付後の情報を一覧化し、現地確認、対応中、完了といった状況を一元管理できれば、部署内の情報共有や過去履歴の確認にも役立ちます。
まとめ
道路の異常を発見した際は、「誰かが連絡するだろう」とそのままにせず、安全な場所から適切な窓口へ情報を伝えることが、地域の安全につながります。
- 穴ぼこや落下物などの道路異常は「#9910」
- 道路管理者が分からなくても通報できる
- 交通事故や警察官の緊急対応が必要な場合は110番
- けが人や救助が必要な場合は119番
- 場所や状況をできるだけ具体的に伝える
- 撮影や通報の際も、自分自身の安全を最優先にする
道路の安全は、行政や道路管理者だけでなく、道路を利用する一人ひとりの気付きによっても支えられています。危険な道路状況を発見した際は、適切な通報によって安全な道路環境づくりに協力しましょう。


